お知らせ

重要文化財・美濃橋の修復

当社が設計・監理を行った重要文化財・美濃橋の修復工事が完了しました。
美濃橋は、岐阜県美濃市の長良川にかかる吊橋で、大正5年(1916年)に建設された現存する日本最古の近代吊橋です。清流・長良川と赤色の吊橋が作り上げる美しい景観は、地域の方に愛されてきました。

平成24年から耐震診断を含む詳細調査と修理方針の検討を行い、平成28年から5カ年かけて修復工事を実施しました。修理では、その技術的・歴史的価値を大切にし、長い間愛されてきた美濃橋の外観をなるべく変えず、部材も極力再利用しています。
特に建設当時のものがそのまま使われている主ケーブルは、世界的にも珍しく貴重なものであるため、劣化した部分の張力を新たに設置する補強材に分担させることで、主ケーブルそのものには手を加えず補強を行いました。
部材を取り換えた箇所では、建設当時の工法を継承し、リベット施工を行った一方で、主塔では耐震のため炭素繊維補強を行うなど、新旧技術をコラボレートした修理を行いました。
また、修理中に様々な痕跡が発見されたことから、歴史を伝える貴重な遺産として調査・記録し、うちいくつかは橋を渡る人にも見えるように公開展示を行っています。

美濃橋がこれからも地域のシンボル、そして大切なふるさとの風景として、残っていくことを期待します。

美濃橋 全景
美濃橋 全景(撮影:大村拓也)
(左) 痕跡(ロールマーク刻印)の公開展示  (右) リベット施工の道具類
(左) 痕跡(ロールマーク刻印)の公開展示  (右) リベット施工の道具類(撮影:大村拓也)