当社が設計監理を担当した熊本県大津町にある国指定重要文化財・江藤家住宅の震災復興に関わるすべての工事が完了し、令和6年6月22日に落成式が行われました。
江藤家住宅は、江戸時代に建てられた「在御家人」の住宅であり、現在もご家族が生活を営む“生きた文化財”です。平成28年(2016年)の熊本地震では、主要な建物が大きく傾き、屋根瓦や土壁が落下するなど甚大な被害を受けましたが、7か年に及ぶ復旧工事を経て、無事に被災前の姿を取り戻しました。
落成式の翌日には一般公開が行われ、附(つけたり)指定の小屋を活用したガイダンス施設がお披露目されました。この小屋は、かつてカリモンゴヤ(刈物小屋)と呼ばれ、物置や収納に使われていた建物です。復旧工事と並行して実施した公開活用工事により、1階の床や階段を整備し、江藤家住宅に関する解説パネルや、かつての生活道具などを展示しています。パネルのフレームや展示什器に使用した木箱(もろぶた)や長持、また展示物の整理や清掃は、地区の住民で結成された「江藤家住宅まもろう会」の皆さまに協力いただきました。
その他、初期消火機能の強化を目的とした防災施設整備工事も実施され、敷地内に屋外消火栓や放送設備などが設置されました。江藤家住宅は、建物の健全化や耐震性能の向上に加え、防災や活用に関わる整備も併せて行うことで、熊本地震からの“より良い復興”を遂げました。今後も地域文化の象徴として、この町の住民にとっての“心のよりどころ”であり続けることを願っています。
【大津町HP】
https://www.town.ozu.kumamoto.jp/page/1803.html
※江藤家住宅は一般公開などを除き、基本的に非公開です。
弊社インスタでは、これ以外に多くの写真を掲載していますので、ぜひご覧ください。工事の様子は、過去投稿の【#bhkお仕事紹介 江藤家住宅編①〜③】でもご覧いただけます。
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