当社で設計・監理を行った「荻外荘(てきがいそう)」の復原工事が令和6年(2024)10月末に完了し、12月から一般公開が行われています。
杉並区荻窪にある「荻外荘」は建築家・伊東忠太が設計した住宅です。義理の兄である入澤達吉の別荘として設計され、昭和2年(1927)の棟札が残っています。
土地と建物は昭和12年(1937)に政治家・近衞文麿に譲渡され、首相となった昭和15年(1940)頃には政治の舞台として報道され、脚光を浴びました。昭和36年(1961)に建物の約半分となる客間棟部分が都内に移築されましたが、荻窪に残る建物は平成24年(2012)頃まで近衞家が所有し、改修が進んでいました。
その後、平成26年(2014)に杉並区が荻窪の土地を購入し、移築されていた客間棟建物も買い取り、令和4年(2022)から約2年半をかけ、昭和15年頃の姿を目指して復原整備工事を実施しました。平成28年(2016)には国の史跡に指定されています。
復原整備では、近衞が戦後の昭和20年(1945)に自決した書斎を残しつつ、客間棟部分は昭和15年の段階でほとんど手が入れられていなかったと考えられるため、ほぼ創建時の姿で復原され、古写真をもとに当時の内装や家具調度を再現しています。
また敷地の北半分は戦前の姿に近い、マツやシイなどが残る庭園として整備しています。庭園の中に配置されたガラス張りの立面や天井の高い空間など、伊東忠太の住宅への意識、意気込みがうかがい知れる近代の史跡となっています。
※復原整備の詳しい内容は後日紹介いたします
【杉並区HP】荻外荘復原・整備プロジェクト
https://www.city.suginami.tokyo.jp/fukugen/index.html
[追記]2025年3月27日
LIXILのHPで弊社担当へのインタビューが掲載されています。
コラム:政治の舞台になった近衛文麿の旧邸宅伊東忠太設計の「荻外荘」が復原
https://www.biz-lixil.com/column/manufacturing/tile040/
