お知らせ

岡山県重要文化財・本山寺霊廟の落慶法要が行われました

当社にて、保存修理工事の設計監理を行った岡山県美崎町にある本山寺霊廟(おたまや)の落慶法要が行われました。この霊廟は、二代津山藩主・森長継が江戸時代初期の承応元年(1652)に造営寄進したものと言い伝えられ、徳川幕府への忠誠を示す為に造営しました。

前回の屋根葺替修理から約40年が経過し、葺材の腐朽により雨漏りが発生していました。拝殿は土台が腐朽したために柱は傾斜し、扉などの建具は開かない状態でした。檀家さんからの寄付や岡山県及び美咲町による補助金を受け、令和元年度より屋根葺替を主とした保存修理工事を開始し、令和4年12月に無事竣工いたしました。別工事との兼合いがあり、落慶法要は令和6年4月に行われました。
現在建物西面には階段が設けられていますが、創建当初は「次ノ間」及び「廻廊」がその先にある庫裏まで設けられていたことが、工事中の痕跡調査から明らかになりました。寺の伝承によると、津山藩主が城より駕籠に乗って本山寺を訪れ、庫裏内の「将軍ノ間」で寝泊りし、政のよりどころとして霊廟を頼っていたと言い伝えられています。
修理工事では、荒床板・軒廻り・小屋組の一部等を解体し、傷んだ部材の修理を行い、柱が傾斜していた拝殿については修理の為にジャッキアップを行い、腐朽した土台、柱の取替・補修等を行いました。その他、屋根・壁紙・畳の更新を行い、屋根更新にあたっては、落雷が多い立地であることから、避雷針設備を新たに設け、文化財の保護に努めた修理が行われました。

開山から1300年を数える岡山でも指折りの古刹であり、往時を偲ぶ建物として、未来に受け継がれて行くことを願います。

【美咲町HP】
https://www.town.misaki.okayama.jp/soshiki/gakusyu/10354.html

修理後
落慶法要後(内覧のようす)
修理前                       ジャッキアップ中のようす
屋根葺替のようす                  木部修理のようす