お知らせ

橘樹歴史公園 飛鳥時代の倉庫復元

当社が設計・監理を行った飛鳥時代の倉庫の復元工事が完了し、令和6年5月18日に「橘樹歴史公園」としてオープンセレモニーが行われました。

国史跡橘樹官衙(たちばなかんが)遺跡群は、古代武蔵国橘樹郡の官衙(役所・官庁)遺跡です。
そのなかに位置する橘樹歴史公園には、これまでの発掘調査で飛鳥時代の4棟の倉庫跡が確認されており、今回当社は1棟の全体復元の設計・監理を行いました。
全国初の取り組みとなる飛鳥時代の倉庫(穀倉)の復元にあたり、発掘調査成果をはじめ現存する奈良時代の倉庫の事例・文献史料などを基に設計を進め、草葺(茅葺)屋根、高床式の板校倉造の倉庫としました。塞(出納に供する小さな作業空間)の広さや錠の形状などの細部についても、有識者の方々とともに奈良時代の資料から飛鳥時代の仕様を推定するなどの検討を重ね、文化庁での審議を受けて復元に至りました。
倉庫復元においては遺構面を保護したうえで基礎を据えています。飛鳥時代の姿を目指し、できる限り古代の技法を用いるとして、部材の仕上には手斧(ちょうな)やヤリガンナを用いました。飛鳥時代の工法を推定しての復元ですが、耐力不足の箇所については梁や壁板などの補強材として金物を用いています。
令和2年度から基本設計が始まり、令和4年度に着工、足掛け4年の歳月を経て令和6年2月に竣工となりました。

川崎市制100周年の節目となる年に、飛鳥時代の役所跡である橘樹官衙遺跡群の整備に携わることができ感慨深く思います。
住宅地に突如現れる古代倉庫は独特な雰囲気があります。通常は内部非公開ですが、不定期で特別公開されるそうです。この公園が歴史を感じられる地域のシンボルとして大切にされることを願っています。

川崎市教育委員会 橘樹(たちばな)歴史公園 HP
https://www.city.kawasaki.jp/880/page/0000165531.html

外観
(左)内観  (右)手斧仕上げ
セレモニーのようす