お知らせ

重要文化財・美濃橋の修復

当社が設計・監理を行った重要文化財・美濃橋の修復工事が完了しました。
美濃橋は、岐阜県美濃市の長良川にかかる吊橋で、大正5年(1916年)に建設された現存する日本最古の近代吊橋です。清流・長良川と赤色の吊橋が作り上げる美しい景観は、地域の方に愛されてきました。

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小石川後楽園唐門の復元

特別史跡および特別名勝小石川後楽園内に復元されたこの門は、一間一戸の向唐門です。唐門は水戸徳川藩邸の内庭から大泉水へ向かう正式な入口でした。整備では、庭園としての景観を再現するため、古写真などの資料をもとに門と脇塀を復元しています。当社は復元整備の設計監理を担当しました。
唐門の創建は、江戸初期に来日した明の学者、朱舜水による扁額があったこと、また彫刻の時代性などから、徳川光圀が後楽園を再建した寛文9年(1669)ごろと想定されています。
戦災で消失する前の古写真には、唐門は欄間や妻壁に花鳥の彩色彫刻が見られました。このため正面妻壁は、写真でわずかに確認できる細く白い首の形をもとに鶴と想定し、鶴と組み合わせる文様として牡丹や大和松を再現しました。彩色は伝統的な素材を用い、先端に金箔を貼る江戸期の狩野派の手法を採用しました。扁額は、大正時代の古写真をもとに復元しています。額面には「後楽園」の文字と朱舜水の名、落款が記されており、この門が朱舜水と深いかかわりがあることがわかります。

【小石川後楽園HP】
https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index030.html

常磐橋の修理

当社が設計監理に関わった常磐橋の修理工事が終わりました。

常磐橋は江戸城外郭の正門跡に架設された二連の石造アーチ橋で、十露盤木と呼ばれる伝統的な木質系基礎構造と、江戸城小石川門の石垣を転用した空石積みのアーチから構成されています。文明開化期(明治10年)に東京で築造された石橋としては現存する唯一のものです。

その常磐橋は東日本大震災により大きく変形し、崩落の危険があったため大規模な解体修理をすることになり、当社が設計監理をしました。解体は地形杭と呼ばれる木杭を除いた橋全体に及び、解体過程で得られた様々な調査成果を加味して修理は進められ、歴史的建造物の価値の保存と耐震性・治水安全性の向上を両立し、伝統技法と現代の最新技術を組み合わせた工法により復旧しました。

また、失われていた水切石や鋳鉄製の高欄手摺柵を復元し、親水空間の整備やライトアップによる景観形成を含めた総合的な歴史的空間を創り出しています。
(国指定史跡・千代田区景観まちづくり重要物件・土木学会田中賞受賞)

【千代田区HP】広報千代田 No.1542 令和3年(2021年)4月20日号
https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kuse/koho/koho/kako/koho2021.html

建造当初の常磐橋
復旧してライトアップされた常磐橋(撮影:日暮雄一)