当社が設計・監理に関わった旧島津家本邸事務所の工事が完了しました。
旧島津家本邸の本館及び事務所は、島津家第30代当主の島津忠重が英国人建築家のジョサイア・コンドルに設計を依頼し、大正6年(1917年)に落成したと言われています。
旧島津家本邸は昭和37年(1962年)より清泉女子大学の施設として教学の場となっているほか、定期的な見学ツアーなど公開活用も行っています。旧事務所棟は島津家の家政を司った建物で、近代華族邸宅の在り様を知る上でも重要な遺構です。
耐震補強工事では煉瓦躯体の内部にステンレス鋼の緊張材を挿入し、耐震性能を向上させるプレストレス工法を用いています。プレストレス工法のメリットは施工による内外装への影響を最小限に留めるところにあり、往時の内装をほぼそのままに残し、旧島津家本邸事務所の文化財価値を守るために採用されました。
歴史文化に触れられる貴重な空間であり、学生生活の記憶に残るような建物として使い続けられることを期待します。