お知らせ

重要文化財旧苅田家住宅保存修理工事の着工

当社が設計・監理を担当する重要文化財「旧苅田家住宅10棟」の保存修理工事が着工し、先日、安全祈願祭を執り行いました。旧苅田家住宅は、岡山県津山市の「津山市城東重要伝統的建造物群保存地区」に所在し、江戸時代後期より酒造業を営んでいた商家です。出雲街道に面した14間の広い間口をもつ主屋をはじめ、酒造業の発展とともに増改築された土蔵群など、計10棟の建物で構成されています。平成28年に重要文化財指定されましたが、老朽化のために現在は公開されておらず、令和7年度より保存修理工事に着手しました。

10年以上にわたる保存修理事業
本事業は、今年度から令和21年度までの14年間にわたり、段階的に実施する長期計画です。敷地内に連なる建物群を順次解体し、部材の破損や建物の変遷を示す痕跡を丁寧に調査しながら、文化財的価値を損なわないように修復し、建て直していきます。工事は第1期から第3期の3段階で進め、約5年後の第1期工事完了時には主屋の竣工を予定しています。

苅田家住宅が示す歴史的価値
苅田家は、元和8年(1622)に城下に移住し、宝暦8年(1758)には現在の勝間田町にて酒造業を開始したとされます。家業の発展と共に用地を拡大し、明治後期頃に現在の規模が整ったことが史料等から分かっています。明治以降は酒造業を本業としながらも、金融業や電力事業を手掛け、政財界にも影響を与えるようになり、津山市の近代化に大きく貢献しました。
現存する建造物群は、津山の旧城下にのこる町家建築の中でも最大規模かつ最古級のものです。現在の主屋の原型は弘化5年(1848)に竣工し、明治後期には城東地区を見渡す望楼の増築とともに、枯山水の日本庭園が整備されました。主屋の背面に広がる土蔵群は、寛政2年(1790)に建造された西蔵が最古で、その後明治期にかけて増改築を重ね、近世に端を発する伝統的な酒造りの発展過程を今に伝えています。これらの過程は家相図などの史料から読み取ることが可能ですが、今後の保存修理で行われる調査成果によって、その価値と全体像のさらなる解明が期待されます。

将来的な公開・活用に向けた検討
旧苅田家住宅は、平成25年に苅田家から津山市へ寄贈されて以降、一般公開などの活用は行われていませんが、今後は保存修理と並行して、将来的な公開や活用に向けた整備についても、検討を進めていく予定です。多くの方に親しまれる場となることを目指します。

当社は、旧苅田家住宅の価値を十分に継承できるよう、関係者のみなさまと連携しながら取り組んでまいります。工事の進捗や今後の予定につきましては、HPやSNSでお知らせいたしますので、ご確認ください。

【津山市HP 城東地区】
津山市城東 重要伝統的建造物群保存地区 | 津山市公式サイト

【津山まちじゅう博物館】
城東館 | 津山まちじゅう博物館

旧苅田家住宅の全景
主屋(出雲街道より望む)
主屋(庭園より望む)
主屋 本座敷
※以外は撮影:松村芳治
安全祈願の様子※